会社の非常用電源を安全に備蓄する|3種類の使い分けと点検ルール

『非常用電源を 役割別に備える 点検ルール』の見出しと、モバイルバッテリー・ポータブル電源・防災ラジオを点検する事業所担当者

会社の非常用電源は、「何に使うか」で選び分けます。

スマートフォンの充電、ノートパソコンや照明への給電、停電時の情報収集では、向いている機器が異なります。

モバイルバッテリー、ポータブル電源、手回し充電対応ラジオについて、保管場所、充電する人、接続する機器、異常時の対応、リコール確認の方法まで決めておきましょう。

目次

3種類は用途に合わせて使い分ける

最初に、停電時も続ける業務と、そのために必要な機器を洗い出します。容量や機能だけで選ばず、誰が、どこで、何に給電するかを決めます。

台帳には、接続する機器、必要な使用時間、保管場所、使用場所までの運び方を記録します。製品の取扱説明書を読み、予定している使い方ができるか確認してください。

電源の種類主な役割導入前に確認すること
モバイルバッテリー持ち歩き、スマートフォンなどの小型機器を充電する電池方式、安全試験、接続端子、重さ、必要数
ポータブル電源事業所内でノートパソコン、通信機器、照明などに給電する定格出力、接続機器の消費電力、充電場所、運搬方法
手回し充電対応ラジオ停電時に放送から情報を得る受信範囲、操作方法、内蔵電池や乾電池の扱い、保管場所
製品の取扱説明書で、予定している使い方ができるか確認します。

モバイルバッテリー:小型機器を持ち歩いて充電する

モバイルバッテリーは、災害対応にあたる人や外出中の従業員が、スマートフォンなどの小型機器を充電するために使います。

購入前に、使う機器やケーブルと端子が合うか、無理なく持ち運べる重さか、同時に何台必要かを確認します。

発火リスクをできるだけ抑えたい場合は、ナトリウムイオン電池や半固体リチウムイオン電池を採用した製品も比較対象に入れます。

ただし、「ナトリウムイオン」「半固体」という名称だけで、火災が起きないとは判断できません。実験研究では、ナトリウムイオン電池も条件によって熱暴走することや、半固体電池も熱暴走を完全には防げないことが報告されています。

方式名だけではなく、安全試験の内容、過充電・過放電・短絡・温度に対する保護機能、国内の保証・回収窓口、リコール対応まで確認してください。

リチウムイオンのモバイルバッテリーを選ぶ場合は、PSEマークと届出事業者名も確認します。ナトリウムイオン電池はPSE制度の対象外なので、メーカーが公表する試験基準と結果を製品ごとに確認します。

現在入手できる製品例として、エレコム「DE-C55L-9000」があります。ナトリウムイオン電池を採用した容量9,000mAh、最大45W出力の製品です。重さや端子、輸送上の制限も含め、自社の使い方に合うか確認してください。

ポータブル電源:事業所内の機器に給電する

ポータブル電源は、ノートパソコン、通信機器、照明など、事業所内で使う機器への給電に向きます。

使える機器は、ポータブル電源の定格出力と、接続する機器の消費電力によって変わります。購入前に給電する機器を一覧にし、取扱説明書で接続できるか確認してください。

保管棚から使用場所まで、安全に運べる重さと大きさかも点検します。

次の製品は、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用しています。電池方式だけで安全と決めつけず、保護機能、メーカーの安全試験、保証・回収体制も確認してください。

防災ラジオ:停電時の情報を受け取る

手回し充電対応ラジオは、停電時に放送から情報を得るために備えます。

スマートフォンを充電できる製品でも、主な給電手段にはせず、補助的な手段として使います。

購入後は保管したままにせず、防災点検や停電訓練の際に担当者が実際に操作します。

受信・選局、ライト、手回し充電、端子の接続を行い、手順どおり使えることを確認してください。

充電・保管:高温、水濡れ、衝撃を避ける

電池を内蔵する機器は、保管場所と充電方法を決めて管理します。

消防庁は、強い衝撃や圧力、高温になる場所、水濡れを避け、充電は目の届く安全な場所で行うよう案内しています。

車内、窓際、暖房器具の近く、重い備蓄箱の下には置かず、製品ごとの取扱説明書に沿って保管します。

  • 管理番号、製品名、型番、購入時期、保管場所を台帳に記録する
  • 充電する人を決め、充電中は放置しない
  • 接続する機器と必要なケーブルを一緒に確認する
  • 防災点検や停電訓練に合わせ、外観、充電、動作を確認する

異常時:熱、変形、異臭などに気づいたら使用を止める

消防庁の「リチウムイオン電池を使うとき」は、直ちに使用を中止すべき異常のサインを示しています。

総務省消防庁が示すリチウムイオン電池の5つの異常サイン。熱、変形、異臭・異音、液漏れ、充電や動作の異常
出典:総務省消防庁「リチウムイオン電池を使うとき」
  • 持てないほど熱い、または充電中に異常に熱くなる
  • 膨らみや変形がある
  • 異臭や異音がする
  • 液が漏れている
  • 充電や動作に異常がある

これらの異常を見つけたら、すぐに使用を止めます。無理に動かしたり、膨らみを押し戻したり、正常な機器と一緒に充電したりしないでください。

煙や火が出た場合は、身の安全を最優先にして周囲へ知らせ、119番通報します。あわせて、事業所の消防計画に従ってください。

点検:リコール確認まで台帳に入れる

購入後に、安全上の問題が判明することもあります。製品の型番を台帳に残し、メーカーや販売事業者の案内、消費者庁「リコール情報サイト」を継続して確認します。

対象製品が見つかったら、案内に従って使用を止め、回収、交換、修理の手続きを確認してください。

点検頻度に一律の基準はありません。自社の訓練周期、使用状況、製品の取扱説明書に合わせて決めます。

非常用電源は、購入しただけでは備蓄として機能しません。機器ごとに、使う人、接続する機器、保管場所、異常時の対応、リコール確認の方法を決め、一枚の台帳にまとめます。

訓練では担当者が実際に機器を操作し、手順どおり使えることを確かめましょう。

情報確認日:2026年8月22日(JST)。出典:総務省消防庁「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」総務省消防庁「リチウムイオン電池を使うとき」経済産業省「リチウムイオン蓄電池について」経済産業省「ポータブル電源の安全性に関する要求事項」消費者庁「リコール情報サイト」

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