国交省が帰宅困難者の搬送計画を新規明記|駅周辺企業が平時に決める3点

駅周辺の企業で帰宅困難者対応の連絡と待機計画を確認する担当者たち

駅周辺に拠点がある企業は、地震後に従業員を一斉帰宅させる前提ではなく、待機・連絡・配慮が必要な人の確認を平時に決めておくことが大切です。国土交通省は2026年7月28日、「国土交通省防災業務計画」を修正しました。新旧対照表では、帰宅困難者の帰宅に当たり、自力で徒歩帰宅が難しい要配慮者やこどもに配慮した搬送手段を確保するため、地方公共団体と運輸事業者等の事前計画を支援する項目が新たに示されています。これは進行中の災害情報ではなく、修正日と改正箇所が固定された国の計画です。

目次

令和8年7月28日修正で帰宅困難者対策の項目が追加された

国土交通省防災業務計画は、災害対策基本法に基づき、同省が防災上とるべき措置などを定める計画です。2026年7月28日の改正後計画と新旧対照表には、主要駅周辺や地下街等での避難誘導支援・帰宅困難者対策が記載されています。周辺企業における従業員の待機、地域の行動ルールの周知、自治体や鉄道・バス・船舶事業者等による安全確保といった既存の考え方に加え、徒歩帰宅が難しい人への搬送に向けた事前計画への支援が追加されました。

この計画だけで、全ての企業に特定の搬送手段や備蓄量を法的に義務付けるものではありません。企業は、自社の所在地、自治体の帰宅困難者対策、ビル管理者や駅周辺組織のルールを別に確認したうえで、従業員・来訪者の安全確保へ落とし込みます。

企業が平時に整理する三つの項目

整理する項目平時に決める内容発災時に確認する相手
待機社内で待機する場所、開放できる会議室、担当交代、退出を判断する条件ビル管理者、自治体の地域ルール
連絡安否確認、来訪者への案内、家族連絡の代替、情報発信の担当従業員、テナント、取引先
配慮歩行や移動に配慮が必要な人、こども同伴者、支援を頼む先の確認本人、自治体、交通・施設の関係者

まずは一斉帰宅を抑え、待機できる状態をつくる

大規模地震の直後は、鉄道や道路の状況が分からないまま多数の人が移動すると、駅周辺や徒歩帰宅の経路で混乱が広がるおそれがあります。企業は、従業員だけでなく、来訪者、派遣・委託先の常駐者、研修参加者を含め、誰がどこで待機するかを名簿と座席図で確認します。停電時でも開けられる部屋、トイレ、連絡手段、食料・飲料水の所在を、日常の避難計画と矛盾しない形で共有してください。

待機は無期限に留め置くことではありません。建物の安全確認、火災・津波・浸水などの危険、自治体や施設管理者からの避難指示があれば、人命の安全を最優先に行動します。平時の文書には「誰が情報を受け、誰が待機から避難へ切り替えるか」を明記しておくと、現場判断の遅れを減らせます。

移動に配慮が必要な人を名簿だけで終わらせない

改正後の計画が示す搬送の視点は、徒歩で帰宅できる人だけを想定した計画では不十分になり得ることを示しています。会社が独自に危険な場所へ送迎や搬送を行うべきという意味ではありません。本人の同意を得たうえで、平時から必要な配慮を確認し、地域の一時滞在施設、自治体の案内、交通事業者・ビル管理者との連絡窓口へつなぐ順を決めることが実務的です。

  • 個人情報の扱いを決めたうえで、支援や移動に関する本人の希望を定期的に確認する
  • 在館中の来訪者やこども同伴者を、受付・総務のどちらが把握するか決める
  • 地域の一時滞在施設や帰宅支援の情報を、担当者だけでなく代行者も参照できる場所へ置く
  • 交通機関が再開する前に出発を促さない基準と、連絡文面のひな型を用意する

連絡計画は地域のルールと一緒に訓練する

BCPや防災計画に「一斉帰宅を抑制する」と書くだけでは、実際の連絡が遅れます。年に一度は、地震発生後に在館者数を確認し、待機案内を発信し、自治体・施設管理者からの情報を受けて判断する図上訓練を行います。訓練では、安否確認システムが使えない場合、電話回線が混雑する場合、夜間に責任者が不在の場合も確かめます。

今回の国土交通省の計画修正は、帰宅困難者の安全確保を、企業、自治体、施設・運輸の関係者が平時からつなぐ必要性を示す固定された公表事項です。自社だけで完結する搬送策を急いで決めるのではなく、待機、連絡、配慮が必要な人の確認を地域のルールと結び付けて見直しましょう。

情報確認日:2026年8月23日(JST)。出典:国土交通省「国土交通省防災業務計画(令和8年7月修正)」国土交通省「国土交通省防災業務計画」国土交通省「新旧対照表」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次