停電直後の事業所では、ポット、電子レンジ、IH調理器を使える前提で非常食を配るのではなく、水で戻せる主食と飲用水を分け、実際に水だけで準備・配布できるかを試食で確かめておくことが大切です。農林水産省は、アルファ米は水を注いで約60分で戻り、袋が食器を兼ねると紹介しています。商品ごとの必要水量、調製時間、原材料・アレルゲン表示は必ず包装とメーカー表示で確認してください。
水で戻す主食を停電時の選択肢として分けて備蓄する
水で戻す主食は、火気や電気を使わずに準備できる一方、すぐに食べられる食品ではありません。給水してから待つ時間、必要な飲用水とは別に調製へ使う水、配布の順番を決める必要があります。温かい食事を用意する備蓄や加熱器具は別の計画として扱い、停電時に無理に複数のポットを稼働させる前提にしないことが安全です。
| 分けて管理するもの | 目的 | 試食時に確認すること |
|---|---|---|
| 水で戻す主食 | 火気を使えない初動でも食事を準備する | 必要水量、待ち時間、開封・給水の手順、食べる人の好み |
| 飲用水 | 飲用と体調管理へ回す | 調製用に回す分と混同しない保管場所、配布単位、残数確認 |
| 加熱を伴う備蓄 | 電気・ガス等が安全に使える後の食事を補う | 熱源の可否、担当者、換気・火気の安全、別途の訓練 |
試食で水量・待ち時間・配布担当を確かめる
東京都が紹介する企業の備蓄食試食事例では、五目ご飯を水から作り、提供まで約60分かかったこと、電気が使えてもポットを同時に使うとアンペア不足になる場合があることが確認されています。これは一社の訓練例であり、全ての事業所の基準ではありません。ただし、非常食を棚に置くだけでは、調製開始から配布までに必要な人手や時間は分かりません。
試食では、少人数でもよいので、給水時刻、できあがり時刻、袋を開けるためのはさみの要否、スプーンや紙コップの不足、保管場所から配布場所までの動線を記録します。水は食事を戻す分と飲む分を分けて数え、当日に使う分を勝手に補充用の在庫から流用しない担当ルールを決めましょう。
水で戻す主食は表示を読み、実際の手順で選ぶ
水で戻す主食を選ぶときは、保管年数や味だけで決めず、職場の人数に対して何食を先に配るのか、水を注いで待つ場所が確保できるか、食べられない人への代替を別に用意するかを確認します。以下のアルファ米を例に、水を注ぐ量と待ち時間を試し、配布単位を確認してください。原材料、アレルゲン、調製方法、必要水量は購入前と試食時に商品表示を確認してください。
保存水は飲用分と調製分を分けて置く
保存水は、飲むための水と主食を戻すための水を同じ箱の在庫として曖昧に数えないことがポイントです。配布担当が開封した本数を記録し、調製に使った分を含めて残数を引き継げるようにします。以下の保存水を例に、飲用分と調製分を分けて在庫を管理してください。必要量は在館者数、待機日数、食事の調製方法、既存の給水設備を踏まえて個別に決めてください。
試食後は補充日までを一枚の表にする
- 水で戻す主食と飲用水を、保管棚・数量・賞味期限・補充担当に分けて記録する
- 商品表示どおりの水量と時間で試食し、実際に必要だった備品と改善点を残す
- 停電時に熱源を使わない初動の配布手順を、安否確認や待機場所の案内と一緒に訓練する
- レイアウト変更、人数増減、商品の入替え後に、配布場所と水の配分を見直す
水で戻す主食と保存水は、備蓄して終わりの組合せではありません。停電中に火気や電力を使わず、誰が水を注ぎ、いつ配布し、飲用分をどう残すかまで実際に確かめて初めて、事業所の待機計画に組み込めます。包装の表示と社内の試食記録を基に、主食・飲用水・加熱を伴う食事を混同しない備蓄表へ更新しましょう。
情報確認日:2026年8月24日(JST)。出典:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(6)」、東京都「防災備蓄食のローリングストックで試食会を実施」。

