政府は2026年6月30日、「令和8年版防災白書」を閣議決定し、内閣府が全文をHTML版とPDF版で公開しました。今年の特集は「国難級の地震・津波」です。BCP策定率だけを示す資料ではなく、地震・津波の教訓と被害想定、国・地方公共団体・企業・国民に求められる備え、これまでの防災施策、今後の計画までをまとめた年次資料です。本記事では、白書の全体像と、企業の防災担当者が最初に読むと実務へつなげやすい箇所を紹介します。
令和8年版防災白書とは
防災白書は、災害対策基本法に基づき、防災に関して政府がとった措置の概況と、その年度に実施すべき計画を毎年国会へ報告する資料です。2026年6月30日の内閣府特命担当大臣の会見要旨でも、令和8年版が同日の閣議で決定されたこと、今回の特集が「国難級の地震・津波」であることが説明されています。
内閣府の令和8年版防災白書の公式ページでは、全体版PDFのほか、表紙・特集・各部に分けたPDFも公開されています。画面で章ごとに読みたい場合は公式HTML本文の目次から必要な箇所を開けます。まず資料そのものの全体像を確認し、その後に自社と関係する章へ進むと読みやすくなります。
今年の特集は「国難級の地震・津波」
特集「国難級の地震・津波」は、東日本大震災から15年、熊本地震から10年という節目を踏まえ、地震・津波の仕組み、過去の災害から得られた教訓、今後想定される大規模地震・津波の被害の様相を整理しています。そのうえで、国や自治体だけでなく、企業や一人一人がどのように備えるかを示しています。
企業に関係する部分では、事業継続と地域との連携、平時から使える技術・サービス、事前防災への投資が取り上げられています。白書の公表そのものが今回のニュースであり、特集は公表後も自社の地震・津波対策を確認する資料として利用できます。
白書全体は特集と3部で構成されている
| 白書の部分 | 主な内容 | 企業担当者の読み方 |
|---|---|---|
| 特集「国難級の地震・津波」 | 地震・津波の仕組み、過去の教訓、大規模地震の被害想定、各主体の備え | 第3章第3節「企業に期待する防災対策」から読む |
| 第1部 | 我が国の災害対策の取組状況と令和7年度を中心とする施策 | 1-9「事業継続体制の構築」でBCPの現状を確認する |
| 第2部 | 令和6年度に政府がとった防災措置の概況 | 国が実施した対策を分野別に確認する |
| 第3部 | 令和8年度の防災に関する計画 | 今後実施される施策の方向を確認する |
白書は最初から最後まで通読しなくても使えます。現在の課題が地震・津波への備えなら特集、BCPの取組状況なら第1部、国の実績なら第2部、今後の施策なら第3部というように、目的から章を選ぶ資料です。
企業担当者が先に読みたい3つの箇所
- 特集3-1「事業継続の取組の必要性」:BCPと、それを訓練・点検・改善し続けるBCMの考え方を確認する
- 特集3-2「地域防災への企業の参画」:自治体との災害時応援協定や地域との協力を、自社の事業継続と併せて考える
- 第1部1-9「事業継続体制の構築」:民間企業のBCP策定状況と、事業停止が取引先や地域へ及ぼす影響を確認する
この順で読むと、計画を作る理由、社外との連携、現在の策定状況を一続きで理解できます。自社の計画書だけを点検するのではなく、訓練、見直し、地域や取引先との関係まで含めた事業継続の取組として捉えることがポイントです。
BCP策定率は白書の一項目として読む
白書に掲載された令和7年度の企業調査では、BCPを策定済みと回答した割合は大企業75.8%、中堅企業54.8%でした。策定中を含めると、それぞれ87.1%、65.9%です。これは白書全体のうち、民間企業の事業継続体制を示す一つの調査結果です。
| 企業区分 | BCP策定済み | 策定中を含む割合 |
|---|---|---|
| 大企業 | 75.8% | 87.1% |
| 中堅企業 | 54.8% | 65.9% |
数字だけを自社の合格・不合格の基準にするのではなく、策定済みでも訓練後の更新が止まっていないか、策定中なら誰がいつまでに決めるのかを確認する材料として使うのが適切です。
白書を読んだ後に自社で見直す3項目
- 優先業務:災害時にも止められない製品・サービスと、復旧を目指す時間を責任者・代行者まで決めているか
- 代替手段:人員、拠点、電力、通信、データ、仕入先のどこが止まりやすく、代替先や手順を実行できる状態か
- 連絡と更新:従業員、顧客、取引先への連絡順と判断者が決まり、訓練結果を計画へ反映しているか
この3項目は、白書が同じ名称で列挙したものではなく、白書が示す事業継続と継続的改善の考え方を、本記事が社内確認用に整理したものです。確認結果は「担当者・期限・次回訓練日」まで記録すると、一般的な注意喚起で終わらず、実際の見直しにつながります。
まず公式目次から自社に必要な章を開く
令和8年版防災白書は、「国難級の地震・津波」を軸に、過去の教訓、被害想定、企業を含む各主体の備え、これまでの施策、今後の計画をまとめた資料です。まず公式HTML本文の目次を開き、企業担当者は特集第3章第3節、BCP担当者は第1部1-9から読むと、必要な内容へ短時間でたどり着けます。
情報確認日:2026年8月25日(JST)。出典:内閣府特命担当大臣記者会見要旨(令和8年6月30日)、内閣府「令和8年版防災白書」、内閣府「事業継続体制の構築」。

